第一回文化芸術まちづくりゼミ レポート(後半)

6月9日第一回文化芸術まちづくりゼミのレポート、後半は大槌町役場生涯学習課課長兼図書館館長の佐々木健氏による「大槌学」から始めます。

 

大槌の魅力がみっちりと詰まった30分間になりました。

大槌町には実は小布施町との繋がりがあります。旧県立図書館に飾られており被災した「山高神代桜」の絵画。その作者が中島千波先生であり、中島先生の出身が小布施です。小布施町にはおぶせミュージアム・中島千波館があります。

被災した作品は修復不可能と判断されたのですが、その話が中島先生に伝わり、先生からそれの版画が大槌町に寄贈されることになりました。つい最近まで中央公民館のロビーにて作品が展示されていました。

 

大槌町の地域資源としてまず蓬莱島があります。ひょっこりひょうたん島のモデルになったと言われており、原作の井上ひさし氏も公認です。大槌町では正午のチャイムにひょっこりひょうたん島のテーマが流れたり、復興支援活動でもいたるところで「だけど僕らははくじけない」というフレーズを見かけます。もちろん、ひょっこりひょうたん塾もひょっこりひょうたん島のストーリーコンセプトに準じて命名したものです。また井上ひさし氏作の「吉里吉里人」という小説があります。大槌町にはそれの舞台となった吉里吉里地区があり、井上ひさし氏と大槌町は繋がっています。

 

大槌には井戸水をくみ上げなくても、豊富な湧水が噴き出しています。あちこちで湧水が出ているため、「すき昆布」というものがよく作られていました。湧水は生活の一部として長年存在してきました。

 

以上はほんの一部ですが、歴史的なところ、文化的なところ、様々な視点から大槌町の魅力をお伝えいただきました。

町外の人にはもちろんですが、町民さんにとっても新鮮な情報があったのではないでしょうか。

大槌町の魅力を見直す良い時間になりました。

 

 

続いて、現地ゲストの朝日新聞記者 東野真和氏に場をまとめていただき、花井氏との対談をしていただきました。

震災後すぐに大槌に移り、これまで大槌にて取材をし続けてきた、現場を熟知している東野氏ですが、今回の参加者は町外からの参加者が多かったため、まず最初にこの会場にどのような人が来ているのかを知るため、みなさんに自己紹介をお願いしました。

大槌町民の方が数名、大槌町に復興支援で来ている方、気仙沼で活動をされている方、関東の大学生、宮古市で活動されている方など、多様な人が集まりました。

 

東野氏は大槌町の復興の状況だけではなく、町民さんのことや町の特性まで大変よく知られています。みなさんの自己紹介のあとには東野氏から参加者の紹介をしていただきました。

今回の会場もそうですが、今大槌町では役場内でも町外の方が多く、不思議な状況になっています。元々大槌町はよそものも少ないところです。そこに外部の人が入って新しいものをつくっていこうとしているので、今こういう会合があってもなかなか町民の方が来ない。決して町の人達のやる気がない訳ではなく、どういうことをすれば良いかわからないような状況が続いているそうです。

 

東野氏が大槌町で生活する中で、町民の方は本当にキャラクターが濃いということに気づいたようです。一番の資源は「人」で、みんなで協力できるようになればすごい町になるんじゃないかと、感じておられます。被災後の避難所の様子や町のキーマンなど、震災後に大槌町で生活してきた東野氏なりの視点での大槌町のご紹介は、現場の生の意見として貴重なものでした。

 

東野氏と花井氏の対談は、町内での「よそもの」の立ち位置についての話から始まりました。

小布施町でも「小布施人」よりもよそものが行動しているような状況があります。大槌町も郷土愛が強く、大槌に残る人は大槌が大好きな人が多いです。そのような地域でよそものから与えられたチャンスを使って、都市計画などで独自性をもつようなことをやろうと思うとどういう方法論があるのでしょうか。花井氏は図書館建設を通じて、ソフトとハードは同時進行で進めないといけないということを実感したようです。「これを作ったから何をしたい」ではなく「何をしたいからここにこれを作りましょう」という流れで考える必要があると発言されました。また、よそものが頑張ろうとするときに、どうしてもその土地の人が困惑する場合もありますが、よそものだから言えることもあり、よそものがはやし立てるのはいいことだという意見もでました。


産業振興を担当されている高橋副町長によると、大槌町は今後大きな道路が通り、経済圏が広がることが予想されています。それにより、周りの地域の資源を生かすような考え方も必要になってきます。道路をどうするか、町の中心地をどうするかなどのハード事業で行政も精一杯になり、時間が過ぎているのが現状です。そうすると、画一的な町になってしまう。ソフトの事業を並行して進めないといけないということをどうやってひろめていくかが課題です。今大槌町で進められているまちづくり会社の設立には、花井氏も期待している様子でした。ハード事業で役場が精一杯なので、町民や外部の人の力を借りることでソフトの事業を展開できるという見方です。

 

大槌町でも若い人がどんどん離れていく問題がありますが、この震災を機に地元に戻った若い方もおられます。また、復興ツーリズムや復興食堂を運営する【おらが大槌夢広場】には若い人が集まっています。民間も行政も、何かがあればおらがに相談するというような体制も見られるそうです。こういう風に、地元の若い人達が立ち上がるということは、重要だと考えられます。

中高生を対象にした学習支援などで、まちづくりに興味をもってもらうような動きも重要になってくるのではないかという意見も参加者からいただきました。実際大槌町でも、町長や副町長が大槌高校生の話を聞くという住民会議があるようです。東野氏も、その場で高校生から出る意見が最も創造的でおもしろいと感じられていました。

 

 

東野氏の現場で感じた生の意見と、花井氏の事例との共通点が多くみられ、具体的な意見がでました。副町長や参加者からもいろんな提案や意見、現状の報告などもあり、良い雰囲気で意見交換が行われました。地元の方がどのようにして主体的にまちづくりに関わっていくか、またよそものとどう協力していければよいか。そのあたりの課題を中心に、立場の異なるみなさんの考えを聞けたのは貴重な時間だったと感じました。

 

 

1日目の安渡小学校での講義はこれにて終了です。このあと、復興食堂に移動して交流会を開催しました。

おらが大槌復興食堂にて晩ご飯をいただきながら一日目の振り返りや名刺交換をしながらの自己紹介など、講師の花井氏も一緒に交流会を行いました。

花井氏は気仙沼での活動を継続しており、今回は気仙沼からの参加者もいました。他地域での活動紹介も聞くことができ、勉強になりました。副町長にも最初から交流会までご参加いただき、多種多様な人が交わる充実した1日目になりました。

 

 

2日目はおらが大槌夢広場による復興ツーリズムです。

町民さんのガイドを聞きながら、町内を2時間ほどかけて巡回しました。

ガイドの方の言葉には津波の恐ろしさを体感するような悲しい話もありました。被災地に初めて足を運んできたという参加者もいましたので辛い思いをした方もいたと思いますが、大槌町の現状を生の声を聞いて把握し、今後も支えてくれる人が少しでも増えていけばと思います。

 

参加者の中には大槌町のことを知り尽くしている町民の方もおり、ガイドさんもビックリの情報が飛び交いました。

 

右に小さく見えるのが、「ひょっこりひょうたん島」のモデルになったといわれている蓬莱島です。生憎の天気でしたが、独特な形ははっきりと確認できます。

 

復興食堂の横にある復興館です。震災後の大槌町に関する記事や情報が蓄積されています。この1年3ヶ月ほどの長い月日の経過を感じられる空間です。

 

午前中の2時間だけでしたが、目で現場を見て、いろんな話を伺い、濃密な2日目でした。復興食堂にて昼食をとりながら振り返り。今回の復興ツーリズムや復興食堂を運営している、おらが大槌夢広場の方にも活動紹介をしていただきました。現地での活動団体のことも他地域の人に見てもらいたいこともあり、2日目の復興ツーリズムはおらが大槌夢広場にコーディネートをお願いしました。最後に花井氏にコメントをいただき、第一回文化芸術まちづくりをお開きとしました。花井氏は「またすぐ戻ってきます」というありがたいお言葉を残していかれました。今回は町外の参加者が多い会となりましたが、一人でも多くの方が自分自身の意思で再び大槌町に来ようと思えるように、大槌町の魅力をお伝えすることも目標として設定していましたので、花井氏の最後のお言葉は事務局としても大変ありがたいものでした。

 

次回の文化芸術まちづくりゼミは8月25日(土)と26日(日)です。今回は広報など事務局として反省点が多かったので、次回はもっとたくさんの人に参加していただきやすいような状況を作るよう準備を進めたいと思います。

 

講師のみなさま、参加者のみなさま、現地でお世話になったみなさま、本当にありがとうございました。

 

記:ひょっこりひょうたん塾 事務局 安川雄基

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