第四回 文化芸術まちづくりゼミ レポート

第四回文化芸術まちづくりゼミは、講師にせんだいメディアテーク 企画・活動支援室 室長の甲斐賢治さんをお招きし、1027日と28日の2日間にわたってマストホールにて行いました。

テーマは「いまを残そう その方法と仕組み」です。甲斐さんはせんだいメディアテークで「3がつ11にちをわすれないためにセンター」を立ち上げ、運営しています。市民参加型で行う震災の記録(アーカイブ)のプロジェクトです。

http://recorder311.smt.jp/

 

なぜ今「アーカイブ」が必要か

アーカイブとは、直訳すると書庫のような意味になりますが、さまざまなものを記録し、誰でも閲覧しやすいような状態として保持していくことを指します。

例えば、大槌町にも古い写真がたくさんあります。そこには、昔住んでいたアパートやなじみの店など町の様子や様々なエピソードが写真に込められています。写真の持ち主は写真より、当時の様子や思い出などをくみ取ることができます。しかし、その事を口に出すなど表現しなければ他の人にはわかりません。ましてや写真のフレームの外にある背景や事柄はわかりにくいものです。

古い写真を写真としてだけに留めているともったいない。もう少しいろんなものを写真に載せていけるのではないか。そして、写真に言葉を添えることで町の思い出が他の人と共有されます。町の思い出を残していくことが、今後の町を考えていくことにも繋がります。甲斐さんはこのような思いでアーカイブのプロジェクトを進めています。参加者からも、写真は暮らしの中で起こったことの証になる、という発言が聞かれました。

そこで今回のゼミでは、写真や映像を今後に活かしていくために、使い方、残し方、継続の仕方どのようにしていけば良いかを参加者のみなさんと一緒に考えました。

 

写真に言葉を添える

1日目は、写真にそえる「ことば」をあつめるプログラム。

一枚の写真を見て語る地域の人のエピソードを記録していきます。そこで語られる言葉大切に取り扱うという意味を込め「大槌おもいで信用金庫」と表現しました。言葉を集める作業は、31組のチームにわかれ、聞き手と書き手に役割分担し、大槌町の震災前の写真を数枚受け持ちます。「大槌おもいで信用金庫」という架空の職員になり、「営業」にむかいました。聞き手の人が写真を見せながら「どこか分かりますか?」と質問すると、町の人たちからは次々とエピソードや町の情報が語られ、それを書き手の人がどんどんメモをしていきます。

 

約一時間の営業回りを終えた参加者はセミナー会場に戻り、たくさんのメモを張り出された写真+模造紙に書きこんでいきます。写真が文字にどんどん囲まれ、ものすごい量のエピソードや町の情報が集まったことは一目瞭然です。一枚の町の写真が持つたくさんの情報が可視化されたことで、大槌町の魅力が再発見されました。

1日目の最後に、今回のゼミのために町民が提供してくれた、10年ほど前の大槌町内を巡回する映像を鑑賞しました。町の風景のみならず、町での暮らしぶりを振り返りの機会を作ることは、町の記憶を記録していく過程において重要です。その時、聞き手の役割が大切になると甲斐さんは考えておられます。参加者からは、写真をひとつの財産だと感じた。もっと町内の方に震災前の町の話を聞きたい。など、それぞれの視点でアーカイブについて考える機会になった様子でした。

町の記憶の取り扱い方

2日目は円卓会議にて、記録は誰のためにどのようにして残していくか、ということを議論しました。今回の参加者の中には、写真家、大学生、役場職員、地元のメディア関係の方など、何らかの形でアーカイブに関わっている人が多く集まりました。それぞれの活動や課題を話し、それぞれが重要な役割を果たしています。しかし全体として町の記憶を考える横の繋がりにつては、今後の課題として浮かび上がりました。

甲斐さんが、大阪で運営していたNPOでは、映像やデジタルメディアを個人でどうやって使っていくかを考えていく活動をしていました。映像のワークショップや映像やwebサイトの製作、編集、取材など、専門的な知識を活用してきた事例をみても、なぜアーカイブをするのかという事の大切さは確認できても、「その記憶や情報を誰がどのように残していくのか」という事はすごく難しく、仕組みを整備構築してくことが必要とされているそうです。

 

大槌におけるアーカイブの可能性

甲斐さんは、今回のゼミを通じて大槌町には、写真を撮る人もいて、写真もあり、資料館もあり、いろんな状況が揃っているためアーカイブの運用に近いところまできていると感じたようです。そこで、さらに具体的で専門的な話として、アーカイブに関わる管理責任、運用、権利の話をしていただきました。

写真や映像には著作権が生じ、一般的には他人の写真というのはなかなか使いづらいものです。また所在のわからない写真もたくさんあり、その対応が課題になっています。そのため、写真などの情報を自治体や各団体間で共有する仕組みづくりの大きな課題と現状がみえてきました。甲斐さんの事例より、写真は著作者が持つが、そのコピーを自由に使えるという権利をもってやっている自治体もあるようです。

後半は、権利運用の仕方と、写真の「置き場所」についての議論を重ねました。大槌町の現状を踏まえた提案として、一定の条件を満たせば写真を自由に使える「置き場所」の話になりました。この置き場があると、大槌町の魅力も発信しやすくなり町民も思い出の写真を入手しやすくなります。しかし、そこを運営する人も必要となります。「置き場所」が、みんなが使えることが一番気持ちのいい仕組みだとすると、どういう人が運営するのが良いか。町外の人の関わり方や運営の役割分担など大槌町の現状に照らし合わせ、疑問や課題がより具体的に話されていきました。

 

今後の展開として、参加者の方が中心となり「大槌おもいで信用金庫」を進めていくことになりました。甲斐さんも快くサポートを引き受けてくださいました。

 

 

記:ひょっこりひょうたん塾 事務局 安川雄基

 

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